グリーン環境創成科学科の岡田あゆみ教授の研究グループでは、野生動物の生態調査に関する研究を進めています。2025年1月中旬、八甲田山系で実施した調査の際、雪深い山中を活動するツキノワグマの姿を自動撮影装置で撮影することに成功しました。装置周辺はクマの爪痕や糞がよく観察される場所ですが、これだけの積雪がある時期に雪上で歩行する様子が記録されたのは初めてでした。
クマの冬眠は、寒い季節に食物が不足する環境に適応した生理的な休眠状態です。秋には多くの食物を摂取して脂肪を蓄え、体温をわずかに下げた状態で巣穴の中で数か月を過ごします。冬眠中は心拍数や代謝が大きく低下し、排尿や排便をほとんど行いません。また、妊娠したメスは冬眠中に出産し、巣穴の中で母乳を与えて仔を育てることが知られています。
しかし近年、冬眠期間を短縮したり、冬眠しないなど、クマの冬眠に変化が起こっていると言われています。降雪前に十分な栄養を蓄えられなかった場合に冬眠に入れないケースがある一方、秋の栄養状態が良好でも食物が得られる環境であれば冬眠に入らない個体がみられるようです。温暖化や食物資源の変動を背景に、今回撮影された雪上でのツキノワグマの行動も、生息環境の変化を反映している可能性があります。今後の継続的な調査が求められます。
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